静岡の弁理士・弁護士 坂野史子のブログ

静岡市で活動している理系の弁理士 弁護士です。静岡のぞみ法律特許事務所 http://www.s-nozomilawpat.jp

美顔器の特許侵害事件において、知財高裁が4億円以上の損害賠償請求を認めた事件ー令和2年2月28日判決言渡 平成31年(ネ)第10003号 特許権侵害差止等請求控訴事件

知財高裁が寄与分という概念を否定した表題の事件。 損害論において、寄与分ではなく、推定覆滅という概念で損害額が減額されるかを判断する旨を判示したものです。 そこで、推定覆滅事由とは何かが問題となるところ、判決では以下のように判示されています…

【登録された権利でも無効理由があることがある】

【登録された権利でも無効理由があることがある】特許権・意匠権・商標権について、無効審判という制度があります。また、侵害訴訟で相手方から権利が無効だから権利行使ができないと主張されることがあります(権利無効の抗弁)。 特許庁で審査をされて登録…

平成30年(ワ)第27253号 著作権侵害差止等請求事件・・第三者にイラストの作成等を委託した場合にも,その作成経過を確認する等する注意義務が必要とされた事例

本件において, ・原告は,イラストレーター ・被告らは,いずれも加工食品の製造及び販売等を業とする株式会社であり, 代表取締役等の役員が共通する関連会社 ・補助参加人は,カラーパッケージ等の企画,デザイン,製造,販売等を業と する株式会社です。…

商標法29条・・会社のロゴ等の著作権を有していれば,商標権者に対抗できる

明けましておめでとうございます。 本年もよろしく御願いいたします。 さて,商標法に以下の規定があります。 (他人の特許権等との関係)第二十九条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の…

株式会社日本入試センター 対 株式会社受験ドクター 事件

控訴人(原告)が被控訴人(被告)に対し, 1 被控訴人(被告)がHPにおいて「SAPIX今週の戦略ポイント Daily Support」等(本件各表示)と表示する行為が,控訴人(原告)の商品等表示である「SAPIX」を使用するものであり,不正競争防止法2条1項1号に規定…

会社にとって秘密にしておかなければならない情報とは何かの棚卸しの重要性

不正競争防止法では,営業秘密とは,1秘密管理性(アクセス制限等)2非公知性 3有用性が満たされるものをいうと定義されています(不正競争防止法2条6項)。 会社にとって他に漏れたら営業上大きな損失を被ることになるであろう情報は,例えばメーカー…

プロジェクト開始前に弁護士と相談することの必要性

先日顧問先から連絡があり,私が1年ほど前に新たなプロジェクトが開始する前に契約書等の作成・チェックと,関係者との交渉を行った案件について,結局のところプロジェクト自体が頓挫してしまったのだけれども,私が作った覚書のお陰で,投入した資金が実…

特許権移転登録手続等請求事件 (セリックス対アサクラインターナショナル)

被告が製品開発を依頼し,原告が発明をした製品について,被告の冒認出願であることがみとめられ,被告が取得した特許権の原告への移転請求が認められた事件です(争点1)。 争点2として,弁護士費用等のみを損害とする不法行為に基づく損害賠償請求の可否…

浜松市(10月19日18時半)・静岡市(10月26日18時半)・週末パテントセミナー

浜松市(10月19日18時半)・静岡市(10月26日18時半)にて,日本弁理士会東海支部主催の週末パテントセミナーの講師を務めます。 https://shizuoka-ipc.gr.jp/member/wp-content/uploads/sites/7/2018/08/2018shuumatsupatent.pdf 今年で4回目となります。 …

主にクリエーターの方へ・・「著作権トラブル解決のバイブル-クリエイターのための権利の本」のすすめ

最近出版された本です。 「著作権トラブル解決のバイブル-クリエイターのための権利の本」 https://www.amazon.co.jp/著作権トラブル解決のバイブル-クリエイターのための権利の本-大串-肇/dp/4862464149 私はクリエーター支援も自分の仕事の主軸にしたいと…

イラストレーターがイラストをネットで転載されたことについて,損害賠償30万円が認められた事件

イラストレーターがイラストをネットで転載されたことについて,損害賠償30万円が認められた事件です。 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/021/088021_hanrei.pdf イラストレーターが自分のイラストを複製・公衆送信された場合に権利主張をするこ…

契約書のチェック時には理由を付ける

ケースバイケースですが,私は契約書のチェックを頼まれた場合,変更の提案理由がわかる文書を作成することが多いです。 例えば契約書の変更案の文書と,その理由をまとめた文書(「変更願」等というタイトルを付けて,クライアント名で相手方に文書が送るこ…

フリーランスのイラストレーターの法律問題(6)・・著作権と意匠権・商標権の関係

(相談) 1 依頼者に依頼されて創作したキャラクターやマーク等を発表して商品化等していました。 依頼者は,私から著作権の譲渡を受けていました。 ところが,他者が,依頼者の商品を見て,依頼者が使用している商品・役務と同一・類似の範囲で商標出願を…

JAL 対 南急事件・・商標権侵害・不正競争防止法2条1項1号の判断をせずに不正競争防止法2条1項2号のみを判断し、差止を認めた事例

JALの鳥のマークが似ていて、文字は「JAL」ではなく「南急」となっていたという標章について、JALが訴えた事件です。 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/015/088015_hanrei.pdf 気になる点は以下の点です。 1 商標権侵害,不正競争防止法2条1…

任天堂マリカー事件(マリカー社(旧商号)の商標の登録は維持されたが,不正競争防止法違反では任天堂が勝訴した事件)

任天堂が旧商号マリオカートに対して提起していた不正競争防止法違反事件について東京地裁にて勝訴したことを発表しました。 www.nintendo.co.jp 本件について, ・マリカーという商標が被告によって一昨年特許庁にて商標登録され, ・任天堂が商標法4条1…

特許侵害事件(横山基礎工事vs高知丸高)・・均等論・時機に後れた攻撃防御

本件は特許侵害事件です。 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/005/088005_hanrei.pdf 私が注目すべきと考える点は, 1 均等論について第1要件だけではなく第2要件または第3要件をあわせて判断している点 2 均等論の第1要件の本質的部分の判…

グリー対スーパーセルオーワイ特許侵害事件・・出願経過(意見書)を斟酌して「ゲーム空間の全体」の意義を解釈し,非侵害と認定した事例

最近ゲーム業界は,著作権侵害で争った釣りゲーム事件の影響か,著作権ではなく特許侵害で争う事件が多くなっているといわています。 tokkyo.hanrei.jp 本件で注目したいのは,ゲーム特有の問題ではなく,以下のように「ゲーム空間の全体」という構成の意義…

ザ・リラクス 対ザラ・ジャパン事件・・ファッションのデッドコピー(不正競争防止法2条1項3号)が認められたが,損害額について,商品の価格差等を考慮して「原告が販売することができないとする事情」を認めた事例

ファッションのデッドコピーについて不正競争防止法2条1項3号で差止・損害賠償を請求する事例は最近結構ありますが,これもそうです。 etc.hanrei.jp ファッションはライフサイクルが短いので,意匠等で登録するコストをかける程のものではなく,不正競争…

著作権法30条の4はフェアユースなのか

文化庁の資料には改正著作権法30条の4について以下のように記載されています(なお施行は来年からです)。 【条文の骨子】 包括的に規定 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物 に表現された思想又は感情の享受を目的としない 場合には、その必要と…

ブログの記事が日本語の勉強になる

オーストラリアにいらっしゃる依頼者から,私のブログは日本語の勉強になる,と仰って頂きました。 簡潔な文章でわかりやすいからということだそうです。 うれしかったので,記録に残しておきます。 これからも簡潔でわかりやすい文章を心がけたいと思います…

交通事故にあったら早めに弁護士に相談してください。

知的財産権や企業法務の他に,交通事故等のご相談も受けています。 過失割合の分析やカルテや診断書の分析には理系の素質が役に立つと感じています。 先日弁護士特約を使ってご相談にみえた方から, 「もう少し早く相談に来ればよかったんだけど・・・・」 …

契約書はビジネスモデルを反映させる。

契約書のチェックや作成を依頼された際には,実際に行うビジネスがどのようなものか詳細にお聞きします。 その上で契約の内容がビジネスモデルを反映しているかどうか考えながら,依頼者ができるだけ有利な契約を締結できるように修正をしたり,条項を作成し…

商標登録は重要です。

商標登録についての相談で深刻なものに遭遇することがあります。 1件は数年使用してきた標章について,商標権者から警告書が来たというものです。 自分が使用してきた標章について商標登録出願はしていませんし,使用する前に特許情報プラットフォーム|J-P…

相手方から示された契約書で注意をすべきところ

相手方から示された契約書で特に注意をすべきところは,片方だけ(自分だけ)義務を負っているところです。 双方が義務を負う場面で,相手方から示された契約書で,それ程無茶な条件が記載されていることはそれ程ないと思われるからです。 他方,片方のみ義…

クラウドファンディングとアマゾン

クラウドファンディングで資金を集めてアマゾンで売る! こんなビジネスモデルがうまく行ったという話を聞きました。 クラウドファンディングをやると検索上位に結果が残るので,ここからアマゾン等で販売する商品の宣伝になるというのです。 面白いですねー…

フリーランスのイラストレーターの法律問題(5)・・使用許諾と著作権譲渡の違い

先日,知り合いのイラストレーターに取引先との契約書を見せてもらいました。 ・一つは使用許諾契約書と記載されており,取引先はイラストレーターからイラストの使用を許諾される立場であり,取引先がイラストを使用できる範囲が明記されています。 ・一つ…

フリーランスのイラストレーターの法律問題(4)何度も描き直しをさせられてイラストが完成しない。

何度も描き直しをさせられてイラストが完成しない。 イラストは請負契約にあたる可能性が高いので,完成しないと請負代金を払ってもらえないということになります。 そうすると,何回も書き直しをさせられて,いつまでも完成しないと対価がもらえないという…

知的財産権の権利行使の相手方を誰にすべきか

例えば自社の特許権に関する商品を製造している企業が他の企業にその商品を販売し,当該企業がコンシューマーに販売しているとします。 そうすると,実施をしているのは製造・販売している企業と,それを買っている企業ということになります。 ライバルであ…

弁護士と親密に付き合うことのメリット

弁護士と顧問契約をすると、メールや電話で気軽に相談ができるし、企業の様子を日頃から観察してもらえるので、何か起こったときや起こる前兆があったときに適切に対処してもらえるというメリットがあります。 最近中小企業の代表者等と話していて思うのは、…

知財事件で弁理士・弁護士について思うこと

特許・意匠・商標・不正競争防止法・著作権法等の知財事件をやっていると、弁理士と協同して代理をしたり、相手方が弁護士であったり弁理士であったりします。 最近思うのは 弁理士の良いところは ・特許明細書や仕様書等の論点となり得る箇所の指摘が的確で…