知的財産権の権利行使の相手方を誰にすべきか
例えば自社の特許権に関する商品を製造している企業が他の企業にその商品を販売し,当該企業がコンシューマーに販売しているとします。
そうすると,実施をしているのは製造・販売している企業と,それを買っている企業ということになります。
ライバルである製造・販売している企業に大きなダメージを与えたいということであれば,買っている企業に警告書を送りたいと思うこともあると思います。
しかしながら,不正競争防止法2条1項15号は
「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」
を規制しています。
特許権の侵害にあたるかは,最終的には裁判所の判断ということになりますので,後に侵害でなかったということになると,虚偽の事実を告知する行為となり,不正競争防止法違反で損害賠償請求の対象となってしまうことがあります。
したがって,原則としては,メーカーを相手方とすべきということになります。
ただし,メーカーが不明の場合もあると思います。その場合は表現等に細心の注意を払ってメーカーから買っている企業にレターを送る等の手段を考えることになります。
侵害警告をする場合,侵害の有無の判断,相手方の選定等専門的な判断が必要となりますので,専門家に相談して慎重に進めることが重要です。