静岡の弁理士・弁護士 坂野史子のブログ

静岡市で活動している理系の弁理士 弁護士です。静岡のぞみ法律特許事務所 http://www.s-nozomilawpat.jp

ザ・リラクス 対ザラ・ジャパン事件・・ファッションのデッドコピー(不正競争防止法2条1項3号)が認められたが,損害額について,商品の価格差等を考慮して「原告が販売することができないとする事情」を認めた事例

ファッションのデッドコピーについて不正競争防止法2条1項3号で差止・損害賠償を請求する事例は最近結構ありますが,これもそうです。

etc.hanrei.jp

ファッションはライフサイクルが短いので,意匠等で登録するコストをかける程のものではなく,不正競争防止法2条1項3号による日本国内での発売3年以内という期限付のデッドコピー規制が適しているといえると思います。

 

特徴的なのは,不正競争防止法19条5号ロの適用除外について

・ザラ・ジャパンが輸入業者であったため,「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者」であると認定された点。

・しかしながら,デッドコピー品であることを知らないことにつき重過失ありとして,適用除外が排除され,不正競争防止法2条1項3号が認定された点です。

 

さらにもう一つ,知財屋として注目したいのは,損害額の推定規定の適用です。

本件は不正競争防止法5条1項に基づく請求ですので,原告の利益額を基準に損害賠償請求をしているのですが,原告と被告の商品の大きな価格差,被告のブランド力等を理由に,「原告が販売することができない事情」があるとして損害額が減額されている点です。

 

ファッションブランドにおいては,デッドコピー規制は要注意であり,もちろん,オリジナルデザインで商品を創出していくことにこしたことはありませんが,仮に問題になった場合には,自社のブランド力や販売力,ライバル会社の動向等により,損害額を減額することができる可能性があるということです。