静岡の弁理士・弁護士 坂野史子のブログ

静岡市で活動している理系の弁理士 弁護士です。静岡のぞみ法律特許事務所 http://www.s-nozomilawpat.jp

契約書のチェック時には理由を付ける

ケースバイケースですが,私は契約書のチェックを頼まれた場合,変更の提案理由がわかる文書を作成することが多いです。

 

例えば契約書の変更案の文書と,その理由をまとめた文書(「変更願」等というタイトルを付けて,クライアント名で相手方に文書が送ることができるようにまとめることが多いです)を別々に作ります。

 

契約書のレビューをしていると,相手方の担当者が,契約書をただワードの変更履歴付で変更した案を送りつけている場合も多いのですが,これではどうして変更案が提案されているのか理由がわかりません。

契約書は言葉である以上,曖昧な部分も含んでおり,後々解釈が必要になる場合もありますから,その場合にも理由書は当事者の意思を探る上で重要な資料になると考えています。

 

契約書の一部を理由も告げずに削除したり,変更したりするのはあまりにも乱暴ですし,理由が分からなければ,その提案の意味を正確に理解することができません。このようなコミュニケーションの取り方では,双方にとってよりよい解決の方向を協同で模索するという関係を築くことは難しいと思います。

私が相談を受けたときには,クライアントの担当者と相手方の担当者のワードの変更履歴が重なりすぎて,もうなんだかわからなくなって,不信感が募り,関係性がこじれていることもよく見られます。

 

契約書も訴訟も結局のところ,双方の立場はあるものの,同じ社会で生きる主体同士が共存するための協同作業であるべきだと私は思います。