静岡の弁理士・弁護士 坂野史子のブログ

静岡市で活動している理系の弁理士 弁護士です。静岡のぞみ法律特許事務所 http://www.s-nozomilawpat.jp

商標法29条・・会社のロゴ等の著作権を有していれば,商標権者に対抗できる

明けましておめでとうございます。
本年もよろしく御願いいたします。
 
さて,商標法に以下の規定があります。
 
(他人の特許権等との関係)
第二十九条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。
 
出願日よりも前に生じた他人の著作権等と抵触するときは,その抵触する部分について登録商標を使用することができません。
 
また,商標法29条の趣旨から,当該著作権を有する他人は,その標章の使用を商標権者に対抗できると解されています。
 
したがって,例えば会社のロゴ等をデザインしてもらった場合に,著作権を譲渡してもらっていたとします。その後,同じロゴ等が商標登録されたとしても,著作権者は対抗出来,ロゴ等を使用し続けることができるのです。
 
会社名や会社のロゴ等は商標登録をしておくことが重要ではありますが,仮にしていなかったとしても,このような対抗手段があります。
 
なお,会社のロゴ等をデザイナーにデザインしてもらった場合,何の規定もなければ著作権は創作者であるデザイナーに帰属したままになってしまいますので,著作権(27条・28条を含む)を譲渡してもらい,著作者人格権を行使しないという約束をしてもらうことは重要です。ソフトウエア開発の委託等においても必要です。